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Philosophy創業者のお話
「コーヒーはよくわからない」で
大丈夫です。
私たちは、技術で『いつもの一杯』の価値を変えます。
コーヒーの世界は、時に難しく、敷居が高いと感じるかもしれません。
本当に美味しいコーヒーを求めるのに、「分かったフリ」をする必要はありません。
なぜなら、創業者自身が「センスがない」とまで言われた極度の不器用だったからこそ、あなたの「わからない」に、誰よりも真摯に向き合えると確信しているからです。
地位や肩書きより、汗で獲得した「本物の技術」こそが価値を生む
社会人時代、私は大きな違和感を抱えていました。半年に一度の転勤だけで昇進していく。能力が伴っていないにもかかわらず昇進する自分に、強い疑問と不満を感じていたのです。
私が追い求めていたのは、そんな「みせかけの価値」ではありませんでした。私の祖父は職人でした。中学生の時、仕事を手伝った際、膝ほどの大きな石を狙い通りの形に割り進める祖父の「真の技術」に、感動したのを覚えています。
酒飲みでちゃらんぽらんな祖父でしたが、「手に職があること」への憧れは、彼の背中を見て育ちました。
私のコアにある信念は、今も昔も変わりません。それは、地位ではなく、汗を流して獲得した本物の技術にこそ、人に認められる価値があるということです。
希少性より、日常性へ。究極の「普通」を追求する挑戦
そんな中、転勤先の街で通うようになったコーヒー豆専門店で、私の人生を変える一杯に出会いました。一口飲んで、それまでのコーヒーの概念が完全に変わりました。まろやかで、香り豊か。お世辞抜きに「こんなコーヒーがこの世にあるのか」と衝撃を受けました。
そのお店に通ううち、コーヒーの味が「焙煎」という技術次第で決まることを知ります。同じ素材でも、台無しにする人もいれば、素材の可能性を最大限に引き出す人もいる。すべては、お店の焙煎技術にかかっている。
「これだ。手に職だ。」
美味しいコーヒーでお客様が喜び、農家さんが報われ、働く自分も満たされる。この価値が循環するイメージが鮮明に浮かび、私は長年勤めた会社を辞め、迷うことなくコーヒーの世界に飛び込みました。
私が目指すのは、希少性で価格が高騰する特別なコーヒーではありません。
私たちは、「普通の豆」を、あなたの人生に寄り添う「最高の日常」へと昇華させること。
これこそが、地位ではなく技術にこだわる私の信念に最も忠実な挑戦だと確信し、独立への覚悟を決めます。
不器用さが、唯一の武器となった。創業者、苦闘の物語
しかし、その世界は甘くありませんでした。味覚の繊細な世界は、サラリーマン時代の常識が全く通用せず、すぐに「何がわからないのかがわからない」暗闇に突き落とされました。テイスティングが上達しない日々。毎日がダメ出しの連続でした。
私は昔から、あれこれそつなくこなす方でしたが、この時ばかりは違いました。目に見えない味覚は答え合わせが容易ではありません。何より、「分かったフリ」ができない性格でした。顔に出てしまうから、誤魔化すこともできません。
本当に大変な日々でした。努力しても成果が見えず、「コーヒーは向いてないんじゃないか」とまで言われ、自分自身に対して『期待すること』をやめてしまいそうになりました。
でも、あの時、正直でいるしかなかったこと。それが、後に私を救う唯一の武器になりました。
不器用で、センスがない自分に正直でいたからこそ、味の細部に真摯に向き合い続けることができたのです。
【証明】黒煙と200kgの失敗。それでも、逃げなかった「正直な技術」
繊細な味を感じ分けるテイスティングは本当に難しく、1年以上はダメ出しの日々でした。しかし、ある日、自分のテイスティングコメントが商品の説明文として採用されたときは、本当に嬉しかったです。
商売の根幹である焙煎をド素人の自分に任せてもらえるはずがないと理解していた私は、**「希少性を売りにするのではなく、普通の品質のコーヒーを、自分の技術でどこまで美味しくできるか」**という信念に基づき、独立を決意しました。
アルバイトを掛け持ちして資金を貯め、多くの人に助けられ、ついに焙煎機を手に入れました。しかし、記念すべき最初の焙煎で、テナントが**真っ黒な煙**に包まれ、近所の人が「火事ですか!?」と駆けつけてくる大騒ぎになりました。
原因は、排気部分のメンテナンス不足。この一件で、私は**焙煎機の分解整備**を自ら行い、構造を理解する経験をします。結果的に、このトラブルは、**焙煎機の仕組みを深く学ぶ最高の経験**となりました。
その後の味づくりも困難の連続でした。自分で焙煎したコーヒーは、この上なく不味かった。妻には**「クレヨンみたいな味がする」**と顔をしかめられていました。
結局、生豆を**200kg**も無駄にし、**「僕にはセンスがない」**と痛感しました。
しかし、あの時誤魔化さずに勉強したテイスティングの感覚が、試行錯誤の羅針盤となる。**不器用でセンスがない自分に正直でいたからこそ、味の細部に真摯に向き合うことができたのです。**
リベルタの技術は、天性の才能ではなく、200kgの失敗と、逃げずに向き合った正直さの上に成り立っています。
【リベルタコーヒーの最終使命】 あなたの「いつもの一杯」を、人生を豊かにする「きっかけ」へ
不器用でセンスがない私ですが、この経験があるからこそ、お客様の「コーヒーのことはよくわからない」という気持ちに、誰よりも寄り添うことができます。これが、リベルタコーヒーの強みです。
お客様がコーヒー豆を買ってくださるから、私は日々、焙煎にトライし続けられます。本当に感謝しています。
私が追求し続ける「あの一杯」
もう一度飲みたい、あの一杯にはまだ出会えていません。
しかし、そのコーヒーの良さを引き出せる技術を身につけておきたい。コーヒーの意味合いを変えてくれたあの一杯を、いつか必ず僕のお客さんにも味わってもらいたい。
そういうコーヒーを提供できるお店、自分になりたい。それが、私たちが今も試行錯誤を続ける力の源になっています。
【リベルタコーヒーの最終的な使命】
あの時私に起こったように、お客様の「コーヒー」がきっかけとなり、日々の食や人生が豊かになる。そんな「小さなきっかけ」を、私たちは今日も焙煎し続けることです。
